【コラム】エレキギターの指板 | Sparkplug.tokyo

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2024/06/21 09:00

初めてエレキギターを買うとき「そもそも、何を選べばよいのか?」という悩みありますよね。

詳しくなってくると徐々に「見るべきポイント」が分かってくるようにはなるのですが、どんなジャンルにおいても、最初は全く違いが分からないから、「ぶっちゃけ、専門家目線で何を買えば良いか、ズバリ教えて欲しい」というのが本音かと思います。

しかし、楽器屋の店員さんに聞いても、専門用語が羅列された説明で、イマイチぴんと来ない。。。
店員さんがズバリ言えない理由は、意地悪ではなくて、「何をやりたいのか?」「妥協できないポイントは何か?」「予算はいくらなのか?」によって変わるからなんですが、これでどんどん複雑化してきますよね。。。

というワケで、一つ一つの項目に分けて、分かり易く説明していきたいと思います。



今回は「エレキギターの指板」のお話です。

エレキギターのネックで、フレットが打ってある木材部分を「指板(しばん)」と呼びます。
英語表記では「Fingerboard」もしくは「Fretboard」と呼ばれる部分ですね。



その指板には様々な種類の木材が使われ、見た目、触感、サウンドに違いが生じます。
細かく見ていくと、いろいろな木材があり過ぎて「ややこしく」なりますので、初歩の初歩では最もスタンダードな3種類の指板材を紹介して、ご説明させて頂きますね。


MAPLE(メイプル)
視覚的には、白っぽい色が特徴的な「メイプル」。
1950年代のフェンダーでお馴染みですが、硬質な木材で、アタック感のあり煌びやかなイメージのサウンドが特徴です。
メイプル材の場合は、指板面も塗装されているケースが主流ですので、触ったイメージとしては、木材に触れている感覚ではなく、塗装面に触れている感覚ですね。
その為、フレット交換を行う場合、塗装工程も必要になってくるという部分も覚えておきましょう。

また、美しい杢目が入った「フレイム・メイプル」を使っているゴージャスなモデルもあります。


ROSEWOOD(ローズウッド)
視覚的には、茶色い色が特徴的な「ローズウッド」。(通称「ローズ」)
硬質な材ですが、メイプルに比べると柔らかいので、サウンド的には中音域に強みがあり、「粘りがある」などとも表現されます。
メイプルと違って、指板面は塗装されていない(オイル仕上げ)ケースが殆どですので、触った感触として、木材に直接触れている感覚があります。その為、「手に汗かきやすいんだよね・・」と言う方には、塗装面で汗がベトつくメイプル指板よりは、ローズウッド指板の方が良いかもしれませんね(あくまで個人的感想です)。

また、指板の貼り方でたまに聞く、「ラウンド貼り(ラウンドボード)」「スラブ貼り(スラブボード)」に関してですが、通常一般的なのは「ラウンド貼り(ラウンドボード)」。フェンダーのローズウッド初期の僅かな期間に採用されていた「スラブ貼り(スラブボード)」は、接着面がフラットで、指板自体がやや厚めの仕様です。スラブボードは、独特のサウンド特性や、生産数が少ない事による希少性の高さから、マニアに人気の高い仕様です。



ちなみに、ローズウッドの中にもいろいろな種類がありまして、最も高額で、最も入手困難なのが「ハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)」ですね。(他にも細かく種類が分かれていますが、今回の初歩の初歩では割愛します)


EBONY(エボニー)
視覚的には、漆黒のエレガントさが特徴的な「エボニー(黒檀)」。
ギブソン「レスポール・カスタム」の指板としても有名で、高級ギターに使用される事が多い事でもお馴染みです。
ローズウッド同様に、指板面は塗装されていない(オイル仕上げ)ケースが殆どですが、ローズウッドよりも硬質な材で、乾燥によって「指板が割れる・・・」という危険もありますので、保管時の湿度に気を遣う事や、マメに指板用オイルなどでケアしてあげる事をお勧めします(美しさも保てますしね!)。
サウンド的には、メイプルとローズウッドの中間的イメージです。

昨今では、希少材となりつつあるエボニーですので、代替として「リッチライト(Richlite:紙材とフェノール樹脂から作られる人工素材)」を使うブランドも多いですね。(一時期、ギブソンも使っていました)

繰り返しですが、他にも様々な木材が指板には使われているのですが、この3つを押さえておけば、まずOKです。

見分け方ですが、、、

◆白っぽい(肌色っぽい)指板なら、まず「メイプル」でしょう。
◆茶色系なら、まず「ローズウッド」と考えるところ。恐らく、エレキギターで最も数多く使われている指板材です。
ただし、茶色系が似ている木材(代替として使用されている木材)が最も多く、判別が難しいと言っても過言ではありません。
◆真っ黒系なら、まずは「エボニー」と考えましょう。
ただし、明らかに導管の無い人工的な見た目の場合、リッチライト等の人工素材と考えられますね。

結局のところ、、、、



違った考え方もあるとは思いますが、世の中の多くのエレキギターはこのどちらかに属しますので、大枠はこれでOKです。

加えて「真っ黒系ならエボニーの可能性もあるよね?」「茶色系だけど本当にローズウッドかな?」程度に考えておけば大丈夫。
目視でどんなに予想しても、最終的には「スペック表を見て確認する」しか無いんですから。(楽器屋さんも実際そうです)

以下余談です。



ブランドやモデルによっても様々ですが、指板上の「ポジションマーク」も様々な種類があるんです。
こちらも、シンプルなものから芸術的な物まで、色々な種類がありますが、有名どころとして、以下の6種をご紹介しておきます。


【ドット・ポジション・マーク】
フェンダーなどでお馴染みの最も数多く使われるポジションマークです。

【ディッシュ・インレイ】
ギブソン・レスポール・スタンダードなどでお馴染みのトラディショナルなスタイル。

【ブロック・インレイ】
ギブソン・レスポール・カスタムなどでお馴染みのトラディショナルかつゴージャスなスタイル。

【スモール・ブロック・インレイ】
ギブソン 60s ES-335 などでお馴染みの、一回り小さなブロックポジションマーク。

【シャーク・インレイ(シャークフィン・インレイ)】
ジャクソンなどでお馴染みの、80sメタルファンには堪らないロック色溢れるポジションマーク。

【トゥリー・オブ・ライフ・インレイ】
アイバニーズなどでお馴染みの、芸術的デザインの指板インレイ。葉っぱの形でポジションが分かるように工夫されています。

ちなみに、非常に特殊ですが、「演奏時は、サイドポジションマークしか見てないから、指板面にはポジションマーク要らないよ」と言う方には、クラシックギターの様な「指板面ポジションマーク無し(サイドポジションマークはあります)」という選択肢もありますね。



いかがですか?

もっと掘り下げていくとマニアックな細分も多々あるのですが、初歩の初歩では基本部分だけご紹介させて頂きました。
エレキギターの特徴の一つとして、ご自身にあったモデル選びの参考になさって下さいね。

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